2013年7月11日木曜日

メッセージ・トイとしてのおもちゃ

「ざるかぶり犬」という張り子の犬のおもちゃがあります。
これは東京おもちゃ美術館の館長でいらっしゃる
多田千尋氏のお気に入りのおもちゃのようですが、
江戸時代の人気玩具で今でも郷土玩具として販売されているそうです。

赤ちゃんのカンの虫をザルですくって封じ込めるおまじない、
あるいは、ザルは水を通すことから鼻づまりを治してくれる玩具と言い伝えられています。
また、「竹のザルをかぶる犬→竹冠に犬→笑」とし、
笑いの絶えない家庭を願って飾る縁起物でもあったそうです。

愛知県豊川市には、六枚の羽根をもつ風車が郷土玩具として残っています
。六つの羽根に俵の絵を描き、豊作を願うとともに
「六俵(むひょう)→無病(むびょう)」として、子どもの無病息災を願ったとか。

山幸彦の釣り針を飲み込んだ鯛がモデルとなった鹿児島の郷土玩具「鯛車」も、
鯛の赤い色は幼児の悪病を退散させる力があるといわれていますね。

ロシアでは、昔から男の子が1歳になると馬に乗せる風習があり、
時代の変化とともに1歳の誕生日に馬のおもちゃを贈るようになったそうです。
馬は子どもたちの健康のシンボルであり、
こちらも元気でたくましく育ってほしいという親の気持ちが込められた風習です。

病気になっても医療に頼れない時代のおもちゃは、
子どもの遊び道具というだけではなく、
健康であってほしいと願う親からのメッセージ・トイでもあったのですね。

もちろん、今の時代も赤ちゃんや子どもに与えられるおもちゃには贈った人からの、
そしてそのおもちゃを作った人からの、
さまざまなメッセージが込められているのだと思います。

そういえば、私が娘へのファースト・トイに選んだのは
ヘラー社の動物をモチーフにしたモビールでした。
何かを想ってそのおもちゃを選んだのか…よく憶えていませんが。
でも、そのモビールを見上げていた赤ちゃんだった頃の娘の眼差しは
しっかり憶えています。

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