2015年7月3日金曜日

「赤ちゃんはなぜ泣くのか」

子どもができて嬉しかったり楽しかったりするものの、
たまには「もうイヤっ」と思うことだってあるのです。人間だもの。

そんなとき、
子育ては修行なのだ。滅私の心だ。
と唱えながら乗り越えたり、乗り越えられなかったり。

そんなこんなで手さぐりの子育てをしていて
気づいたら娘はこの春小学生になっていました。

過ぎてしまえば、乳幼児だった時期が愛おしい。
親ってみんなそんなもんなのでしょうか?

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「赤ちゃんはなぜ泣くのか」(南日本新聞「南点」 平成26年6月20日掲載)

 38歳で初めて娘を出産するまで、私は赤ちゃんのいる生活というものを理解できていなかった。出産後、娘と初めて同室になった夜、泣き続ける娘をあやしながら睡魔と闘うも数時間でギブアップ。看護師さんに娘を預けて眠りに就いたという「へなちょこ母さん」だった。

 娘はよく泣く赤ん坊だった。抱っこしながら寝かしつけた娘を布団に下ろそうとした途端、はっと目を覚ましてはワンワン泣く。看護師さんから「泣いたら授乳するように」と教えられていたのだが、泣くたびに授乳していたのではずっと抱きっぱなしではないか。他の子はここまで泣かないのだろうかと疑問に思いながら、娘を泣かすまいと一日中抱き続けた。

 赤ちゃんが泣くのには理由がある。お腹がすいたり、おむつを替えて欲しかったり、不快な状況を改善してもらいたいときに泣いて誰かを呼び寄せる。確かにそうだ。しかし娘は、たっぷり授乳しても、おむつを替えても満足してくれなかった。お腹も空いてない、おむつも濡れていない赤ちゃんがなぜ泣くのだろう。

 人は「誕生時から他者との結びつきを求めようとする脳がそなえられたのです」と、早稲田大学文学学術院の大藪泰教授は、著書「赤ちゃんの心理学」で述べている。生まれてすぐに大声で泣く「産声」も人間特有のものらしい。自然界では、誕生時に大声をあげることは自らの命を危険にさらす行為。それでも人間の赤ちゃんは、泣くことで母親と触れ合う機会を作り出そうとする。よく泣いていた娘も、へなちょこ母さんにかまってほしくて泣いていたのだ。

 外界の刺激を五感で受け止めながら成長していく赤ちゃんにとって、他者とのコミュニケーションはヒトとしての発達に欠かせない「心の栄養源」である。いや、赤ちゃんに限ったことではない。いくつになってもヒトは他者との関わりの中で成長する、そういう生き物だ。不惑の歳を過ぎて、子どもたちに振り回されながら「ほどよい母さん」を目指す私もそうだ。

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